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フランシス子へ

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東京の下町の一角。

思い思いにくつろぐ猫猫猫に観察されながらいつも半開きの玄関を開ける。 出迎えてくれるのは、これまたいつもの寝ぐせ頭のひと。


親鸞についての記述でぐっときたのは、「こんな風に解釈してもらえたらさぞ嬉しかろう、よかったね」と思ったからだ。

私が親鸞だったらきっとうれしい。


本当はどうだったかというのはわからないけれど、ただこの吉本隆明という人のやさしいまなざしに涙がにじんだ。


そして、映画みたいなフェードアウト。 光の粒か、煙みたいにとけていくような。


「戦後思想界の巨人」なんてここにはいない。
寝ぐせ頭のきれいなおじいさんがいるだけ